木戸めぐるの巡回動機

~副題はまだない~

【書籍感想】『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』が錯覚と欺瞞について真面目に語る本だった件

ふろむだ(@fromdusktildawn‏)氏の

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

を読んで思ったことなどをつらつらと書いていく。

ふろむだ氏のツイッター → https://twitter.com/fromdusktildawn

 

マジョリティ(多数派)を寄せ付けないパッケージのインパク

言ってはなんだが、このパッケージは(いい意味で)ひどい。

いや、著者は狙ってこのデザインを選んだのだと思うが、ひと目見ただけで、この本は読む人を選んでいるとわかる。読者が本を選ぶのではなく、本が読者選んでいる。

スマホを持った一見軽薄そうな若者が、挑発的なセリフと共にパッケージに描かれている。

これを見て、「私は実力でビジネスしてるんだ!」と不愉快になる人がほとんどだろう。私だってそうだった。

なのに、どうしてこの本を手に取り、あまつさえ定価で購入し、こうしてブログに感想を書いているのかというと、購入したきっかけは気まぐれだが、読んだ結果として多くの知見を得られたからに他ならない。

 

本の核となるワード「ハロー効果」

カタカナで書くとややこしいが、「Hello」ではなく、「Halo」だ。 日本語訳すると「後光」が最もふさわしい。

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ハロー効果がどのようなものかというと、

「発行部数100万部のビジネス書を書いた起業家」

「チャンネル登録者500万人のYouTuber」

「ブログで平均して月100万稼いでいるブロガー」

上記のようないわゆる「実績のある人」の言動が「後光が差しているように」優れて見えることだ。

中には実際に役に立つものもあるだろう。

しかし、本書ではそこに「思考の錯覚が生まれている」と指摘している。

 

思考の錯覚とはどういうことか

ハロー効果が及んでいる状態にあると、人や物を評価する際に、

「実際の実力や価値以上に高く評価してしまう」という現象が起こる。

それが「思考の錯覚」だ。

 

そして、この思考の錯覚のすごいところは、「錯覚であると意識させない」ところにある。

自分にはハロー効果なんて効かないよ、という人は思い返してほしい。

インフルエンサーのツイートを見た時や、ベストセラーの自己啓発書を読んだ時、会社のできる先輩のアイデアを聞いた時、何の疑いも持たず肯定したことがなかったか。

その時、「思考の錯覚」はあなたを盲目にする。

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ハロー効果と思考の錯覚については実際に本を読んでもらえるとわかりやすい。

「人はなぜ思考の錯覚に気づけないのか」

「思考の錯覚はなぜ人の心に巣食うのか」

「そんな厄介なものが社会的に黙認されているのはなぜか」

について、イラストを豊富に用いて解説されている。

 

思考の錯覚を利用する/しないでどれだけ差がでるか

「思考の錯覚」が起こると、その人に対するすべての印象が上方修正される。

例を挙げ、順を追って解説すると、

俳優Aがドラマのヒーロー役を務め高視聴率を叩き出した

    ↓

俳優Aの実績が評価され、視聴者やメディアに「思考の錯覚」が起こる

    ↓

俳優Aの人柄・発言・ファッションに注目が集まる

    ↓

「思考の錯覚」により俳優Aの人柄・発言・ファッションまで高く評価される

    ↓

俳優Aは新たな活躍の場を与えられて実績を積み、「思考の錯覚」を大きくする

といった流れになる。

 

ここで重要なのが、「思考の錯覚」によって新たな活躍の場=成長機会を得ているというところだ。

成長機会を得ると、そこで実力が伸びる。

伸ばした実力が次なる成功を生み、「思考の錯覚」を引き起こし・・・というループが発生する。

そうなると、どこかでループが断ち切られない限り、実力は伸び続け、引く手あまたの人材として活動し続けることができる。

 

最終的には、かつて俳優Aより高い実力を持っていた先輩俳優までも、実力で追い抜いてしまうだろう。

いや、それだけでなく、気がつけばとても手が届かない位置まで実力が離れていく。

これが「思考の錯覚」の及ぼす影響だ。

 

思考の錯覚とどう付き合うか

まず、思考の錯覚に気づいても他人にそれを指摘してはいけない。誰もが自分が錯覚を起こしているなど、自覚していないからだ。

もし指摘してしまうと、指摘したあなたに対して害が及ぶ可能性がある。「あいつには話が通じない」と避けられ、活躍の機会を逃してしまうかもしれない。

 

思考の錯覚に注意を向けて、マイナスの被害を避けるためのシールドとして利用するのが賢い使い方だ。

そうすれば、あなたが上司なら部下を正しく評価できるだろうし、友人がパリピなアクティビティに出かけたことを嬉々として話しかけてきても冷静に聞けるだろうし、コンビニで「ドラマで紹介されました」の商品ポップに惑わされず好きなものも買えるようになる。

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思考の錯覚を上手に利用すれば、成長機会を得ることだってできるだろう。思考の錯覚に気づかない人はなぜあなたが実績を積めるか、皆目見当がつかない。

ただ、あなたには「実力がもともと備わっていたんだ」と納得するだけだ。

 

最後に、この本の満足度についてだが、

100点満点中90点

ちょっとした冒険心で買った本だったが、新しい知見を得られたので、内容には満足だ。

10点のマイナスは、タイトルが長すぎる点、それとパッケージのドヤ顔がちょっとイラッとする点だ。